眼輪筋トレーニング・<眼輪筋を鍛える>

これまでフェースストレッチングのいくつかの方法や出版物を紹介しましたが、これらの方法では眼輪筋の働きをあまり積極的に鍛えられない事が分かりました。
如何にすれば効果的に眼輪筋を鍛えられるか私なりに考えてみました。
その方法を紹介します。
※眼輪筋の動きを自覚できるまでは、必ず鏡を見ながら行ってください。
※眼輪筋以外の筋肉はすでに紹介済みのフェイス・ストレッチングの方法を行った上で、この方法を追加してください。

さて、ではリラックスして手鏡に向かってください。

@<まぶしい>という目つきをしてください。

写真左は普通の状態。まぶしい目つきをすると下眼瞼の筋肉(眼輪筋)が緊張しています。
左右の写真を比べてみてください。

※これが下眼瞼眼輪筋の動きです。下眼瞼が2mmほど上へ上がってます。眼の周りの皮膚の<しわ>の変化を矢印のところに注意して左右の写真を見比べてください。 この動きが上手くできない人が大勢いるのです、特に7、8歳の子供達から二十歳くらいの人たちにいるのです。

これからこの動きを意識的に鍛えます。

A<上がり目>のようにします。

子供の頃の<にらめっこ>の<上がり目、下がり目、ぐるっと回って猫の目>の<上がり目>の様に目尻を上方外側に押し上げて、鏡を見ながら、そのまま目を閉じます。
下眼瞼がしっかり上方へ動くのが分かるでしょう。これを何度も繰り返しこの感覚を覚えてください。

このとき頬の矢印のところの筋肉を使わないように、眼輪筋の力だけで動かすように努力してください、初めはどうしても頬の筋肉が働きます。何度か繰り返す内に、その感覚が分かるようになります。

B上眼瞼を押さえて。

上眼瞼の中心近く眉毛のすぐ下で上瞼を引き上げるように押さえます。鏡を見ながら目をぎゅっと閉じます。
上眼瞼が動きを制限されているので閉じられないので仕方なく下眼瞼がしっかり動くのが分かります。これも数回繰り返します。
※このとき眉毛は動かさない様努力して、眼輪筋だけで閉じるのです。

左右の写真の下眼瞼の皮膚のしわの状態に注目してください。

C下眼瞼を下に<あっかんべー>をします。

<あかんべー>やるように少し下にひき眼をぎゅっと閉じます。
このときに普通にただ閉じようとすると<写真1>のようになりますが、ここでも<写真2>のように内側に引っ張るという感覚を分かってください。

写真1と写真2では矢印のところの下眼瞼と白目との隙間に差があるのが分かります。

D<きつねの目>にします。

目尻の少し下側を軽く外側に引っ張って<きつねの目>にします。鏡を見ながら目を閉じます。
このとき軽く外側へ引っ張った指が内側に引っ張られる感覚が分かると思います。
このトレーニングを始めた当初はこの感覚が全く分からない、あるいはできない、かもしれませんが。@ABCの動きを何度もやっている内に必ず、この<下眼瞼の筋肉が内側に引っ張って目を閉じる>という、眼輪筋の正しい動きが分かるようになります。

右の写真で内側に引かれる力で下眼瞼に<しわ>がはっきり出ます。

※外側へ引っ張るのはたとえば腕の筋肉を鍛えるとき、ただ腕を曲げ伸ばししただけでは筋肉は増えません、ダンベルや鉄アレイをもって負荷をかけねばなりません。これと同じように眼輪筋にも負荷をかけるのです。

※眼輪筋は目頭側では上下の眼輪筋がひとつとなって靱帯を形成して涙嚢の上方(皮膚側)を通り骨膜に強く付着しています。この眼輪筋が瞬目運動の時に涙嚢を押したりゆるめたりすることによって涙は鼻腔に吸い込まれるように積極的に排出されるのです。
数多くの瞬目不全の患者さんやドライアイの患者さんを診ていて気がついたことは、この下眼瞼の内側への動きが全くない(顔面神経麻痺後の麻痺性兎眼のような)といっても良いほどに、まばたきに異常があるのです。

※眼輪筋の運動はいずれも始めた当初はかなり難しく感じると思います。細かい小さい筋肉の支配神経が現代人は必要ないから動かないのです。
(例・・・あなたは耳を動かすことができますか?現代人は耳を動かすことの必要性が無くなったので意識的に耳を動かすことができる人は100人中3〜5人位しかいないのです。)
まずこれらの眠ってしまった筋肉と神経に目を覚まさせることです。

私はドライアイや疲れ目、涙目、アレルギー性結膜炎、花粉症などといわれて、治療に通っても治らないと苦情を言う患者さんを沢山診てきました。
もちろん私自身が数年前にそのような診断をして点眼治療をしている人も含めてです。

これらの患者さんに共通する所見に<瞬目不全>がある事にある日気がつきました。
このことは前出していますがビデオ画像のスロー再生という手段がなければ、気がつかないのです。この事に気がついたのは平成16年でした、その後、外来患者さんのほぼすべてをビデオで診ると、すべての年齢層のおよそ90%以上の患者さんに瞬目不全があることが分かりました。これはデーターをまとめて論文を書こうと思っています。

瞬目不全は眼輪筋の弱さ、すなわち顔の筋肉の弱さだから、回復方法は顔の筋トレしかない、という結論はすぐに出たのですが、今のところそれで治るという証拠はありません。

しかしある中年の患者さんが疲れ目で休職を余儀なくさせられた人が、私の紹介したフェイス・ストレッチングを4ヶ月ほど熱心にやって症状が良くなり、『先生、どうもありがとうございます、来月から職場復帰します。』と報告を受けたこともあります。

またやはり中年の女性で県内数ヶ所の眼科で診察を受け、症状が良くならないので、転々とクリニックを変わり、終いにはその内の数ヶ所で『眼には異常がない、それなのにあなたが言う、何となくぼやける、とか、異物感、疲れる、涙が出るような感じというのは、気にしすぎであって、ひとつの精神病である。心療内科を紹介するから、もうここには来ないでくれ。』と断言されて、さじを投げられた患者さんもいます。
この様な人もビデオ映像で納得すると安心してその症状とこれからどの様に対処するか、自然と結論が出るのです。

またこの瞬目不全とマイボーム腺機能不全とは密接な関係があって、瞬目不全の子供の患者、最低年齢は3歳4歳にもいるのですが、6〜7歳になるとすでにマイボーム腺の異常がはっきり出てきます。

一体まばたきは何歳からしっかりできる様になるか、色々文献を調べたのですがそのようなことは何処にも書かれていないのです。ただ生後しばらくの乳児はまばたきの回数も少なく眼がしっかり閉じられないというようなことは、経験上誰でも知っているのですが・・・。

どうやら<まばたき>という臨床的におもしろくない、研究しがいのない病気など真剣に研究する医者はいないようです。

【こちらの用語もご参考下さい】

< 瞬目不全>< 眼輪筋>< 涙嚢>< 涙の働き>< まばたきのポンプ作用>< ドライアイ>< 眼精疲労>
< 眼科不定愁訴>< 角膜糜爛>

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